才能という考え

 可能であるからこそ挫折する。

 夢を見た分、不遇。

 

 だから知は残酷極まりない。人は粘土のような可塑性を持ち、誰彼大して変わらないということを突きつけるから。子どもに本を読ませないことは、ある意味で正しい。

 その日から、僕は、何にもなれて、何にもなれなかった。

 沢山の可能性の自分が死んでいく。

 歌を歌う自分。絵を描く自分。プログラマの自分。様々な生きる生命愛の形。

 ごめんなさい。ここにはあなたの思い描いたように生きられる社会秩序は有りません。悪徳さえ栄えません。

 何なら、その翼や脚を切り取ってしまおう。退廃する心が乾ききってしまうから。

 

 才能が本当にあるのなら良かった。

 才能という先天説は、僕らに、環境の不運という絶望の代わりに、天より授けられし運命という名の双肩を与える。すべての責任は神に預けられる。

 

 ああ神様、私の罪は何ですか。

 それすら分からないのです。