デブリ

 からだがある日を境にして本来の生きる心地よさをおもい出したようだった。それにたひして、こころの方はまだおう吐の感触を覚えていた。

 軽い不安障害とは言えそうだった。或る日常の小さな不安に発火して身体の制御を失するとも思われるおう吐の予感を思わせる。

 今までなら身体もともに重く鈍い傷みを背負っていたから心の陰影も分相応だった。しかし今では身体はもはや軽く敏くて生きる喜びを貪欲に求めていく調子であるからおう吐の予感は不釣り合いだった。

 はやく気づかせたい。

 

 詩をよみはじめた。

 現代詩の多くはたしかに難解でまとまりがない。平気で時代の固有名詞を使うのだって気に食わない。音韻に欠ける。

 短歌が丁度良い。短く奥ゆかしいがためには音韻を交えた言葉の力を前面に出す必要があるから。食材の隠された持ち味を活かす職人のように、一つの接続詞や言葉が新鮮な切れ味を見せる。

 

 まともになればブログはおかしなことになる。

 他に有用なことができるから。価値的判断ができるから。

 物入れに残した図画工作のように、あってもなくても大した違いはない。

 故人だって前後不覚、斗酒のうちに詩をはいたのだから。